ピッ、ピッ、ピリリリリリリリ……。
「ん、んー……」
 なんかよくわかんない猫のキャラの上のボタンに手を伸ばす。
 パシッ、
 って鳴って音が止んだ。
 朝……か
 真っ白なレースカーテンから漏れる光がキラキラと眩しい。
 思わず、目を細めてしまう。
 まだ、眠い…でも、久しぶりにぐっすり眠れた気がする。
 起き上がって周りをみると、可愛い木の机や椅子、沢山の折り紙や私の幼い頃の絵、そして綿あめみたいにふわっふわな桃色の絨毯。
 今の私には可愛らしすぎる部屋だ。
 そして、突然その可愛らしい部屋には似合わない音が響いた。
 ぐぅううう……。
 お腹すいたなぁ。
 そういえば、さっきからいい匂いがする。
「りりちゃーん、起きてるー?朝ごはんできてるわよー」
 ほんと、タイミングいいよねおばあちゃんって。
「はーい。いま行くよー」
 のそのそとベッドから出て、私は1階へ行く。
ミシッ、ミシッ、ミシッミシッ……。
ガラガラガラ。
リビングに入るとエプロン姿のおばあちゃん。
「おばあちゃん、おはよ〜」
「あら、りりちゃん、おはよぉ〜朝ごはんできてるわよぉー!今日は鮭の塩焼きよぉーさっ、冷めないうちに、食べて食べて!」
おばあちゃんは贔屓目とかそういうの抜きで料理も上手だ。なんでも出来るし、結構な美人だったから、昔はモテまくってたらしい。
目の前で湯気をもくもくと立てるご飯たちは、どれもとっても美味しそう。
「いただきます」
おぉ〜、鮭が柔らかい。
「どう?りりちゃん、美味しい?」
「うん!、めっちゃ美味しい!」
ほんとにおばあちゃんのご飯は文句の付けようがない。向こうに帰ったら絶対恋しくなるんだろうなぁ。
「昨夜はゆっくり寝れたかしら?寒くなかった?」
「全然、すごく気持ちよく寝れた。」
これは結構事実。
「あら、そう。それは良かったわぁ。あ、そうだ!りりちゃん、ご飯食べたらお散歩行ってきたら?この時間のお散歩は最高なのよ〜!」
いいかもしれない。ちょうど思い出巡りしたかったし……。
あれも、探さなきゃいけない。