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時は少し遡り全と武仁が迷いの森林に落ちた時間、あの袋小路の地面に突如として現れた底の知れない真っ暗な穴へ飲み込まれたのは全と武仁だけではない。
そう、全に絡んだ中高生3人組だ。
3人は全と武仁とは違う場所へ落ちて来た。

「なんだここ......おい起きろよ、虎(トラ)、龍(タツ)」

先に目を覚ましたのは真中 聖人(まなか せいと)。
全に手を上げようとした彼だ。

「う......ん......。聖ちゃん、どったの?」

次に目を覚ましたのは右京 虎次郎(うきょう とらじろう)。
彼は寝ぼけているようだ。

「......」

最後に目を覚ましたのは左近寺 龍己(さこんじ たつみ)。
無言で辺りを見渡している。

どうやらどこかの部屋の中だ。
とても豪華な室内、3人はそれぞれにベッドで目覚め、見覚えの無いこの空間に戸惑いを隠せない。
聖人が2人に話しかけようとしたがまるで3人が目覚めたタイミングを伺っていたかの様に部屋の扉をノックする音が聞こえ、ガチャっと扉が開くと見知らぬ老人が入ってきた。

「お目覚めですか、聖人の器の皆様。私は聖人の器の皆様を導く者、オダーと申します。皆様まだ混乱されている事かと存じますので順を追ってご説明致します。ご準備が整いましたら部屋の外におります係の者にお声かけ下さい」

そう言うとオダーと名乗る老人は部屋を後にした。

「おい聞いたかよ、聖人の器? なんだそれ! てかどこだここ! 誘拐......!? 意味わかんねー!」

「聖ちゃん、怖いよぉ......!」

「......」

3人はそれぞれに不安を抱える様子だが「爺さんだったし何かあっても3人で行けば大丈夫だろ」と聖人が言うとベッドから出て部屋の扉をを開けた。
部屋の外にはシスターのような格好をした女性が立ち、その顔には目を覆い隠す様に布が垂れており、その布には大きな一つ目が描かれていた。
気味が悪いな、と思いつつも3人は案内されるがままに廊下を進んだ。

「こちらです」と通された部屋は広く、真ん中の床には魔法陣が刻まれており部屋の奥には案内してくれたシスターと同じ一つ目が描かれた旗が大きく掲げてある。
部屋の扉から真ん中の魔法陣までの導線を避ける様に神父やシスターの格好をした人々がズラリと整列し、3人の登場を拍手で迎え入れた。
さきほどオダーと名乗った老人は魔法陣より奥に立っており、3人は進むしかなく魔法陣の上まで進む。

「ここはどこなんだ? それにしても悪趣味だろ、気味が悪い。俺たちをどうしようってんだ?!」

聖人が言うとオダーは答えた。

「改めまして、ここは聖ライガ教会、私は教祖のオダーと申します。皆様は異界よりこの世界へ召喚された聖人の器。言わばこの世界における救世主でございます。丁重におもてなし致しますのでご安心下さい。わからない事や必要な物、全て対応致します。ここに集まる者は皆様をお慕いする者ばかりです。本日は聖人の器である皆様のそのお力を鑑定するべくこちらのお部屋にお越し頂きました」

オダーが言い終わると聖人は「異世界転移じゃん」と湧き上がった。

「それでは鑑定させて頂きます。鑑定!」


真中 聖人(まなか せいと)

種族/人間 年齢/16
職業(ジョブ)/聖人の器 レベル/1

称号/雷神の加護(経験値2倍.レベリング加速2倍)

HP/1000
MP/1000
腕力/1000
腕力抵抗/1000
魔力/1000
魔力抵抗/1000
知性/100
感知/100
俊敏/100
運/100

スキル
・雷属性魔法
 雷属性の魔法を初級〜特級まで使える


右京 虎次郎(うきょう とらじろう)

種族/人間 年齢/14
職業(ジョブ)/聖人の器 レベル/1

称号/雷神の加護(経験値2倍.レベリング加速2倍)

HP/1000
MP/1000
腕力/1000
腕力抵抗/1000
魔力/1000
魔力抵抗/1000
知性/100
感知/100
俊敏/100
運/100

スキル
・雷属性魔法
 雷属性の魔法を初級〜特級まで使える


左近寺 龍己(さこんじ たつみ)

種族/人間 年齢/18
職業(ジョブ)/聖人の器 レベル/1

称号/雷神の加護(経験値2倍.レベリング加速2倍)

HP/1000
MP/1000
腕力/1000
腕力抵抗/1000
魔力/1000
魔力抵抗/1000
知性/100
感知/100
俊敏/100
運/100

スキル
・雷属性魔法
 雷属性の魔法を初級〜特級まで使える


オダーは鑑定結果に雷神の加護を見るや否や地に頭を擦り付け言った。

「雷神様がついに降臨致しました! 皆さん、頭を低くお祈りなさい! 聖人の器様は御三方とも本物です、我々の魂をお導き下さるのは聖人様、虎次郎様、龍己様です! この名を心に刻みましょう!」

そう言うと整列し見守っていたシスターや神父はオダーと同じように地に頭を擦り付けるように3人を崇めた。

この異様な光景に3人はギョっとしながらも動けず、ただその場に立ち尽くしていた。