「どしたの、あお」
「いや、これ」
絶句している俺を不思議そうに見るゆうやに、見ていたスマホを向ける。
[長い間お待たせしてすみません。2週間ほど前にご依頼いただきました青春屋様のオリジナル曲についてですが、完成いたしましたので、映那の声の入ったサンプルとoff vocal バージョン、楽譜・歌詞割を送らせていただきます。尚、ご質問・MIXの依頼等ありましたら気軽にお申し付けください。]
DMが、また来ていた。
「え〜〜!!もうできたの?!」
「……そうらしい」
たった2週間の、どこが“長い”なのか。
花香さん、すごすぎる。
「ね、はるずっとゲームしてるし僕らだけで先に歌詞見ながら聞いちゃお」
そう無邪気に話すゆうやの背後から、
「もう一回言ってみよっかユウヤサン」
と鬼の形相を浮かべたはるがかおをだした。
「えっ、ちょっと聞いてたの?!ごめんって!」
「いや、許さない」
「ね〜おねがいっ!!許して〜〜!!」
「なぁそういうのどうでもいいから。早く」
長く続きそうな口論を片手で制し、二人を急かす。
“これからもありがとう”と題されたそのファイルをクリックして。
3人で歌詞を見るためにパソコンを覗き込み、
スピーカーから流れる曲に耳を傾ける。
〔世界中の誰よりも大切な君へ 言葉を届けよう