目覚めたら、冷たい牢屋の中だった。
(陛下にお父様のことを伝えないと……!)
今から私のことを利用して、父は革命を起こそうとしているのだ。
そうして、牢屋から出ようとしたところ――。
「どこに行く気だ?」
「お父様……」
「気づいてしまったんだろう、少華……?」
「え?」
「私がこの国を乗っ取ろうとしていることに――」
過去視をしたことで、父が、にこにこと笑っている裏で、帝の不幸を願っていたことに、彼女はもう気づいてしまっていた。
「お前はここから出ることは出来ない――なぜなら、陛下の残虐な振る舞いによって、お前はここで死ぬのだからな」
そうして――父が娘に向かって、剣を振り下ろした、その時――。
(あ……)
清らかな光が少華から放たれた。
(なに……!?)
困惑していると――。
ガラガラガラ――!
石造りの牢屋が大きな音を立てて崩れだす――!
「何が――!?」
そのまま、私の前にいたお父様が巨大な石の下敷きになってしまった。
「助かった、けれど、どうして……?」
背後に神々しい青い光を感じる。
見上げると――そこには――。
「せ、青龍……!?」
気高き青い龍が、こちらを覗いていたのだった。
『少華』
――この声は……?
「まさか、陛下……!?」
『その通りだ』
『お前のおかげで、丞相の目論見を見破ることが出来た――』
竜の上顎が少女の体に触れる。
(不思議と怖いとは感じない……)
彼女はそっと彼の顔を抱きしめ返したのだった。