取りあえず、咲桜が帰ってこない。
喧嘩をした、なんてわけではない。
今までも、咲桜が一方的に怒ることがあっても、流夜が咲桜に怒ったことはない。
むしろ怒っていても可愛いと思うので、怒る理由がない。
ただ、今は咲桜のマザコン+女好き+夜々子好きが爆発しているのだ。
「私は助かってるけど、流夜くんそろそろ咲桜に怒っていいと思うよ?」
まさか、嫁の父からそんな助言をされた。
「いえ……怒っているわけではないようです」
「でも落ち込んでいるんだね」
「………はい」
否定出来なかった。
珍しく、犯研の流夜の私室――室長室――への来客は、在義だった。