「それで、“二周目”はどうでしたか?望む“答え”に・・・たどり着けましたか?」
そうやって僕に問いかけるシイナさんから少し切ない表情が漏れた。
僕は少し考えた。
「それは、この後の展開次第ですね。
彼女は・・・ここに来ますか?」
僕の問いかけにシイナさんはゆっくりと首を横に振った。
「そうですか・・・。
なら、本望だと思います。」
僕がありのままを答えると、シイナさんは僕に背を向け二歩遠ざかった。
相変わらず高級そうな音がした。
「そうですか。
・・葉山空人さん、たった今あなたは”完全に“死にました。
よって、あなたに話せることの縛りはもうありません。」
そしてくるりと振り返り、複雑な笑顔でこう言った。
「よければ腹を割って話しましょう。」
僕は二周目を終えてすべての記憶を取り戻した今、このやり直しについていくつか気付いたことがあった。
恐らくそれを知った上でシイナさんはこの提案を投げかけた。
つまり、僕の疑問にすべて答えるつもりなのだろう。
気が付くと、僕とシイナさんの間には真っ白な机と椅子があった。
本当に奇妙な空間だ。
僕は早速その二つある椅子の片方に腰掛け、
「それも悪くないですね」と言った。
◆◇◆◇
「早速一つ聞いていいですか?」
二人とも腰を掛け、少し余談をしたあと僕は切り出した。
「はい。どうぞ」
「一周目と同じ日に、二周目でも事故が起こりました。
こんな偶然はないと思います。
やはり未羅も僕と同じで、“運命”を抱えていたんですね?」
「・・・はい。おっしゃる通りです。
二〇一八年十二月二十五日に事故に遭い、そして誰かが犠牲になること。
これが彼女の運命でした。
しかし『誰かが犠牲になること』はあまりに酷だったので、やり直しに良い影響を与えないと判断して、伝えませんでした。
もっとも、彼女は勘が鋭いお方なのでなんとなく気付いていたと思いますが」
シイナさんは穏やかな表情だった。
「やはりそうでしたか。“運命”は誰しもが抱えているものなのですか?」
僕は次の疑問をたて続けに投げかけた。
「いえ、そんなことはありません。
割合で言えば半々くらいでしょう。
皆自分にとって特別な何かを“運命”と呼びたがる。
でも悲しい話ですが、そんなことは一切ありません。
例えば、『出会ってすぐ意気投合して誕生したカップル』というのはよく耳にしますが、その二人の“樹形図”を覗いてみると、そのすぐ隣の枝には全く別の人と一緒に居る可能性が存在した、なんてことは良くある話です」
シイナさんは苦笑いをしたが、その表情は徐々に歪んでいき切なさが滲み出た。
「・・・ですが、あなた方は違いました。
互いに異なる“運命”を抱えていて、それらは想像以上に深く、複雑に・・・でもそれでいてどこまでも清く交わり合っていました。
私は今まであなた方のような人を見たことがありません。
あなた方は、本当に・・・“運命”によって結ばれていたんです」
シイナさんの声は震えていた。
そう。
僕にも“運命”が存在した。
これは、一周目に火災で死んだ直後まで遡る。
そうやって僕に問いかけるシイナさんから少し切ない表情が漏れた。
僕は少し考えた。
「それは、この後の展開次第ですね。
彼女は・・・ここに来ますか?」
僕の問いかけにシイナさんはゆっくりと首を横に振った。
「そうですか・・・。
なら、本望だと思います。」
僕がありのままを答えると、シイナさんは僕に背を向け二歩遠ざかった。
相変わらず高級そうな音がした。
「そうですか。
・・葉山空人さん、たった今あなたは”完全に“死にました。
よって、あなたに話せることの縛りはもうありません。」
そしてくるりと振り返り、複雑な笑顔でこう言った。
「よければ腹を割って話しましょう。」
僕は二周目を終えてすべての記憶を取り戻した今、このやり直しについていくつか気付いたことがあった。
恐らくそれを知った上でシイナさんはこの提案を投げかけた。
つまり、僕の疑問にすべて答えるつもりなのだろう。
気が付くと、僕とシイナさんの間には真っ白な机と椅子があった。
本当に奇妙な空間だ。
僕は早速その二つある椅子の片方に腰掛け、
「それも悪くないですね」と言った。
◆◇◆◇
「早速一つ聞いていいですか?」
二人とも腰を掛け、少し余談をしたあと僕は切り出した。
「はい。どうぞ」
「一周目と同じ日に、二周目でも事故が起こりました。
こんな偶然はないと思います。
やはり未羅も僕と同じで、“運命”を抱えていたんですね?」
「・・・はい。おっしゃる通りです。
二〇一八年十二月二十五日に事故に遭い、そして誰かが犠牲になること。
これが彼女の運命でした。
しかし『誰かが犠牲になること』はあまりに酷だったので、やり直しに良い影響を与えないと判断して、伝えませんでした。
もっとも、彼女は勘が鋭いお方なのでなんとなく気付いていたと思いますが」
シイナさんは穏やかな表情だった。
「やはりそうでしたか。“運命”は誰しもが抱えているものなのですか?」
僕は次の疑問をたて続けに投げかけた。
「いえ、そんなことはありません。
割合で言えば半々くらいでしょう。
皆自分にとって特別な何かを“運命”と呼びたがる。
でも悲しい話ですが、そんなことは一切ありません。
例えば、『出会ってすぐ意気投合して誕生したカップル』というのはよく耳にしますが、その二人の“樹形図”を覗いてみると、そのすぐ隣の枝には全く別の人と一緒に居る可能性が存在した、なんてことは良くある話です」
シイナさんは苦笑いをしたが、その表情は徐々に歪んでいき切なさが滲み出た。
「・・・ですが、あなた方は違いました。
互いに異なる“運命”を抱えていて、それらは想像以上に深く、複雑に・・・でもそれでいてどこまでも清く交わり合っていました。
私は今まであなた方のような人を見たことがありません。
あなた方は、本当に・・・“運命”によって結ばれていたんです」
シイナさんの声は震えていた。
そう。
僕にも“運命”が存在した。
これは、一周目に火災で死んだ直後まで遡る。