人生には、その後を決める分岐点がいくつも存在する。
 生まれたときは一つの点でも、分岐点が訪れるたびに未来は枝分かれしていき、それはいずれ壮大な樹形図を形成するのだ。
 そして選んで、選んで、選び抜いて、最後死ぬときには何億何兆と枝分かれして、起こりうるはずだった未来の中から一つの答えに収束する。 
 なんてロマンティックで壮大で、それでいて儚いのだろう。
 自分の今までの選択は、間違いを選び続けてここまで来たのだと思う。
 もはやその答えたどりつくのは必然だったのかもしれない。
 正解を渡されていながら、望む行先にたどり着けず、後悔だけが残っている。 
 いっそ正解なんて求めずに、ただただ君との時間をかみしめれば良かった。
 君と過ごした日々は確かにそこにあった。
 2人だけが知っている。
 思い出せば、数え切れぬ後悔とかけがえのない君の優しさが降りかかる。
 もし君が正解を渡されていたら、どのような選択をして、どこにたどり着いたのだろうか。
 いや、本当は知っている。
 君は何があっても何回でもこの答えにたどり着くだろう。
 だってそれは君にとっても必然だったはずだから。
 そんな君に思いを馳せながら、今も私は選んでいる。