「ステラ来るな!」
「でも……でも!」
この状態でステラが来ても守れない。
リルが止めてくれて助かったが、じりじりと後ろに押されているこの状態をどうにかしなければ殺されてしまう。
「ルナだろ? 俺が分からないのか!」
いくら話しかけても無表情のままだ。
表情筋が固まっているかと思うほどに動かない。何か魔法で操られているのではないかと思いたいほどだ。
「コ――ロす。ヴェルニサまの――テきハ――コロす」
「ヴェルニって誰だ! そいつがルナを操っているのか!?」
質問にはやはり答えてくれない。
発した声もルナだった。やはり目の前にいる少女は間違いなく妹のルナだ。しかしどうして鎧を着て剣を握っているのだろうか疑問だ。
「俺が村を壊し、家族を壊した。謝っても許してくれないのは分かるが、少しは話しを聞いてくれ!」
「――タすケて――」
左目から一筋の涙を流し、確かにルナは助けてと言った。
か細い声で集中しなければ聞き逃してしまうほどだったが、その言葉を聞き逃さなかったノアは操られていると確信できた瞬間だ。
「助ける! 必ず助けるから!」
その言葉を発した瞬間、腹部を蹴られて地面に倒れてしまった。
痛みに悶えるノアを見たルナは、空に飛び上がりどこかに移動をしてしまう。
「だ、大丈夫!?」
「俺は平気だ。だけどルナが……」
腹部が痛むが、ルナはそれ以上の苦しみを受けているはずだ。
ノアは腹部を擦りながら痛くない素振りを取ることにした。
「さっきヴェルニって聞こえたけど、確かにそう言っていたの?」
ステラが聞いてくる。
「ヴェルニって言ってたけど、誰なの?」
「厄介ね……ヴェルニって、ノア君のいた辺境地域を含めたオーレリア王国の西側を統括する貴族なのよ」
「き、貴族だなんて……どうすりゃいいんだよ……」
貴族の存在はヘリスから聞いていた。
領内の国民を道具のように扱い、国王と同じく私腹を肥やす人達ばかりであると。その貴族のもとにルナがいるなんて最悪だ。
「ノア君大丈夫?」
「いや……最悪だ……せっかくルナと再会できたのに……」
待ち望んだ再開が最悪の形になって悔しい。
ノアが地面を何度も地面を殴っていると、ステラが立ってと話しかけてきた。
「立って! 悔しがっている場合じゃないわよ! すぐに動かないとよりルナちゃんが苦しむだけだよ!」
「でも……どうしたらいいか分からないんだ……」
「動きなさい! 私とステラ様が考えるから、あなたは動いて動いて動きなさい!」
ノアの襟を掴んで持ち上げたリルが声を上げた。
まさか怒鳴られると思っていなかったので意表を突かれるが、動くという言葉にハッとさせられた。いつも動いていたのに立ち止まっていたのが恥ずかしい。悩むより動け、動いて動きまくれ。そうしないと何も手に入らない。
「ごめん。ありがとう。リルさんは優しいな」
「ば、馬鹿なことを言うな!」
「ふふふ。リルさんは優しいわよ。ねえ?」
頬を赤くして照れているようだ。
まさかリルに鼓舞をされるなんて思っていなかったが、今はそれでよかった。
どうにかしてヴェルニからルナを取り戻さなければならない。ステラとリルが考えてくれるらしいが、果たして上手くことが運ぶか不安だ。
「ヴェルニがいる場所は、アシェラ村より先にある都市サレアだ。そこは外から見れば普通のありふれた都市だけど、実態は国一番最低な場所だ」
「どう最低なの?」
リルが最悪という内容を聞こうとすると、顎に手を置いて悩んでしまっている。
最悪であるのならすぐ言えると思うが、言いづらい点でもあるのか。悩んでいるリルを見ていると、ステラが「国民を道具のように使っているのよ」と教えてくれた。
「ヴェルニは、サレアに住む国民から金銭を吸い取って駐在している王国騎士と共に悪政を行っているの。国民を逃がさずに受け入れては道具のように扱っているのよ」
「最低じゃねえか! そんなやつにルナを!」
最低な場所に一秒でもいてほしくない。
ステラとリルの作戦に賭けるしかないのが情けない。もっと自身で様々なことを考えれれたらいいのにと悔しさが込み上げてくる。
「落ち着いて。ヴェルニが使っている洗脳を解除するにはより強い洗脳魔法を与えて相殺するしかないわ」
「そんな魔法あるの!?」
「あるにはあるけど……」
言葉に詰まっているようだ。
何か言えないことでもあるのだろうか。
「出来る人がいるんだよね!? なら会いに行こうよ!」
「いや、でも……」
「会えない理由でもあるの?」
唇に力を入れてステラが震えている。
それほどに言えない理由があるのだろうか。
「私の妹なのよ。三つ年下なんだけどね」
「妹? そんな人いるなんて聞いたことないんだけど」
「極秘事項だからね。それで、妹はヴェルニがいるサレアにいるの」
「危険じゃないか! でもなんでサレアに住んでいるの?」
悪政を敷くサレアになぜ住むのか理解ができないノアだが、リルが人質ですと衝撃的な言葉を発した。
「国王の血を引いているとはいえ、母親は一般人です。母親を守るためにサレアにいるのでしょう。そして、貴重な洗脳魔法を扱えるので手伝わされているのでしょう」
「酷すぎる! ならその妹と母親を救って、ルナの洗脳を解いてもらえば解決だ!」
「そうね。問題は山積みだけどやりましょう!」
どこか煮え切らないステラだが、とりあえずサレアに行ってステラの妹と母親、そしてルナを救うことが決まった。
「でも……でも!」
この状態でステラが来ても守れない。
リルが止めてくれて助かったが、じりじりと後ろに押されているこの状態をどうにかしなければ殺されてしまう。
「ルナだろ? 俺が分からないのか!」
いくら話しかけても無表情のままだ。
表情筋が固まっているかと思うほどに動かない。何か魔法で操られているのではないかと思いたいほどだ。
「コ――ロす。ヴェルニサまの――テきハ――コロす」
「ヴェルニって誰だ! そいつがルナを操っているのか!?」
質問にはやはり答えてくれない。
発した声もルナだった。やはり目の前にいる少女は間違いなく妹のルナだ。しかしどうして鎧を着て剣を握っているのだろうか疑問だ。
「俺が村を壊し、家族を壊した。謝っても許してくれないのは分かるが、少しは話しを聞いてくれ!」
「――タすケて――」
左目から一筋の涙を流し、確かにルナは助けてと言った。
か細い声で集中しなければ聞き逃してしまうほどだったが、その言葉を聞き逃さなかったノアは操られていると確信できた瞬間だ。
「助ける! 必ず助けるから!」
その言葉を発した瞬間、腹部を蹴られて地面に倒れてしまった。
痛みに悶えるノアを見たルナは、空に飛び上がりどこかに移動をしてしまう。
「だ、大丈夫!?」
「俺は平気だ。だけどルナが……」
腹部が痛むが、ルナはそれ以上の苦しみを受けているはずだ。
ノアは腹部を擦りながら痛くない素振りを取ることにした。
「さっきヴェルニって聞こえたけど、確かにそう言っていたの?」
ステラが聞いてくる。
「ヴェルニって言ってたけど、誰なの?」
「厄介ね……ヴェルニって、ノア君のいた辺境地域を含めたオーレリア王国の西側を統括する貴族なのよ」
「き、貴族だなんて……どうすりゃいいんだよ……」
貴族の存在はヘリスから聞いていた。
領内の国民を道具のように扱い、国王と同じく私腹を肥やす人達ばかりであると。その貴族のもとにルナがいるなんて最悪だ。
「ノア君大丈夫?」
「いや……最悪だ……せっかくルナと再会できたのに……」
待ち望んだ再開が最悪の形になって悔しい。
ノアが地面を何度も地面を殴っていると、ステラが立ってと話しかけてきた。
「立って! 悔しがっている場合じゃないわよ! すぐに動かないとよりルナちゃんが苦しむだけだよ!」
「でも……どうしたらいいか分からないんだ……」
「動きなさい! 私とステラ様が考えるから、あなたは動いて動いて動きなさい!」
ノアの襟を掴んで持ち上げたリルが声を上げた。
まさか怒鳴られると思っていなかったので意表を突かれるが、動くという言葉にハッとさせられた。いつも動いていたのに立ち止まっていたのが恥ずかしい。悩むより動け、動いて動きまくれ。そうしないと何も手に入らない。
「ごめん。ありがとう。リルさんは優しいな」
「ば、馬鹿なことを言うな!」
「ふふふ。リルさんは優しいわよ。ねえ?」
頬を赤くして照れているようだ。
まさかリルに鼓舞をされるなんて思っていなかったが、今はそれでよかった。
どうにかしてヴェルニからルナを取り戻さなければならない。ステラとリルが考えてくれるらしいが、果たして上手くことが運ぶか不安だ。
「ヴェルニがいる場所は、アシェラ村より先にある都市サレアだ。そこは外から見れば普通のありふれた都市だけど、実態は国一番最低な場所だ」
「どう最低なの?」
リルが最悪という内容を聞こうとすると、顎に手を置いて悩んでしまっている。
最悪であるのならすぐ言えると思うが、言いづらい点でもあるのか。悩んでいるリルを見ていると、ステラが「国民を道具のように使っているのよ」と教えてくれた。
「ヴェルニは、サレアに住む国民から金銭を吸い取って駐在している王国騎士と共に悪政を行っているの。国民を逃がさずに受け入れては道具のように扱っているのよ」
「最低じゃねえか! そんなやつにルナを!」
最低な場所に一秒でもいてほしくない。
ステラとリルの作戦に賭けるしかないのが情けない。もっと自身で様々なことを考えれれたらいいのにと悔しさが込み上げてくる。
「落ち着いて。ヴェルニが使っている洗脳を解除するにはより強い洗脳魔法を与えて相殺するしかないわ」
「そんな魔法あるの!?」
「あるにはあるけど……」
言葉に詰まっているようだ。
何か言えないことでもあるのだろうか。
「出来る人がいるんだよね!? なら会いに行こうよ!」
「いや、でも……」
「会えない理由でもあるの?」
唇に力を入れてステラが震えている。
それほどに言えない理由があるのだろうか。
「私の妹なのよ。三つ年下なんだけどね」
「妹? そんな人いるなんて聞いたことないんだけど」
「極秘事項だからね。それで、妹はヴェルニがいるサレアにいるの」
「危険じゃないか! でもなんでサレアに住んでいるの?」
悪政を敷くサレアになぜ住むのか理解ができないノアだが、リルが人質ですと衝撃的な言葉を発した。
「国王の血を引いているとはいえ、母親は一般人です。母親を守るためにサレアにいるのでしょう。そして、貴重な洗脳魔法を扱えるので手伝わされているのでしょう」
「酷すぎる! ならその妹と母親を救って、ルナの洗脳を解いてもらえば解決だ!」
「そうね。問題は山積みだけどやりましょう!」
どこか煮え切らないステラだが、とりあえずサレアに行ってステラの妹と母親、そしてルナを救うことが決まった。