「つまり、俺は君に恋をしている」

「ええっ」

「わかったかな。俺はどの妃嬪より君を抱きたい。君と世継ぎを作りたい」

なんと。

顔に集まった熱が頭から抜け、全身の力が抜けた。

「おい、雨春」

本名で呼ばれ、余計に混乱する。

いったいどうしてこんなことに。

「ふぁ、ふぁあああ……」

「はは、仕方ない」

壊れたおもちゃみたいになった私を、皇帝はそっと抱き寄せた。

「君が生きていてよかった。ゆっくり口説かせてもらうよ」

もうなんと返事をしていいやら。

彼の吐息が耳にかかった瞬間、私ははちみつみたいにドロドロに溶けていく自我を感じた。

胸の中で動かなくなった私を抱きしめたまま、皇帝はクスクスと笑っていた。