「君がそこに座らないか?」

「ふぁえっ!?」

「徳妃では不満か。それなら皇后の席でどうだ」

待て待て。徳妃でもだいぶ高位なのに、皇后って。妃嬪たちの頂点じゃない。

「ややややや」

「皇太后の養子にして、それから」

「待ってください」

心臓が信じられないくらい暴れている。

「嫌か……」

しゅんと眉を下げる皇帝に、きゅうんと胸が聞いたことのない音を発した。いや、そんな気がしただけ。聞こえてない。

「嫌って言うか、その、なんでです」

「なんで、とは」

「なんでいきなり、私を妃に、などと」

冗談を言っているようには見えないけど、冗談だって言ってくれたら。

そんな私の期待を、皇帝はアッサリ裏切る。

「だって、こんなにかわいくて興味深い女性は君しかいないじゃないか」

「ぴえ?」

「危うく自分が男色家なのかと悩むところだった。宦官の服を着ていても君が女性にしか見えないから」

じっと見つめられ、顔が焦げる寸前くらい熱くなる。