彼が言うには、私が廊下で宦官に話しかけられているのを晋耕がちらっと見たらしい。

長年後宮で勤めている彼は、事件後に燃えた千源廟の近くでその宦官を見つけ、こっそり後をつけた。

宦官は寧徳妃の殿舎に消え、そのまま戻ってこなかったという。

それを聞いた皇帝は寧徳妃を拷問にかけた。するとあっさり罪を自白。彼女は先帝の廟を焼いたという罪で、浣衣局(かんいきょく)送りになった。

浣衣局とは罪を犯したり、捕虜となった女性たちが働く場所。

過酷な労働をさせられ、長年生き延びられる者はいないと聞く。

「そんな。そこまでしなくても」

「そうだよな。結局は俺が皇帝としての務めを果たしていないからいけなかった。しかし、罪人を裁くのは俺じゃない。俺が私情ですべてを決めてしまっては、先帝と同じになってしまう」

彼が伏せたまつ毛が揺れる。

頬にうつる影までがあまりに美しくて、私は息を呑んだ。