「よかったですねえ、こんなに早く出世に手が届いて」

「人を出世の鬼みたいに言わないでください」

「ふふ」

晋耕は糸目で微笑む。

いつも糸目なので、表情はほとんど変わらず、感情が読み取りづらい。

「主上はとても気難しい方です。ご機嫌を損ねないよう、気をつけなさい」

「承知しました」

私はまだ宦官になって日が浅く、本来ならば主上にお目通りできる立場ではない。

すべての宦官を束ねる首領太監に付き添われ、私は皇帝が政を行う乾清宮(けんせいきゅう)に向かった。