屏風からはがれた文字が集まり、太く長い列を作ってうねる。

生き物のように動くそれは、なんの前触れもなく高い天井へ上る。

まるで、龍のように。

「ああ……」

文字の龍は天井を突き破り、ぐねぐねとうねりながら天へ昇る。

その尾までが見えなくなったと思うと、ぽたりと頬に冷たいものが落ちてきた。

雫はひとつ、またひとつと私の顔や手の甲を濡らす。

そしてついに、穴が開いた天井から大量の水がばらばらと音を立てて降ってきた。

雨だ。

周囲から熱気が消えていく。

安堵した私は、そのまま意識を手放した。




燃える。燃える。

父上、母上、ごめんなさい。

私はあのとき、あまりにも無力だった。

あのとき私にもう少し力があれば、みんなで逃げられたかもしれないのに。