「宇俊、いるのか⁉」

皇帝だ。

声を荒らげ、私を呼んでいる。

「しゅ、じょ……っ」

熱気が喉を荒らす。大声を出すこともできず、私は咳き込む。

「宇俊、宇俊!」

焦った皇帝の顔が瞼の裏に閃いた。

見えるわけはない。私の妄想だ。

「宇俊、死ぬな!」

ドンと扉をなにかで突くような音がする。

彼が私に死ぬなと言っている。

私だって、死にたくはない。

やっと彼に再会できたんだ。

私はごしごしと、目元をこすった。

そうだ、文字。文字はなかったか。

ハッと気づいた私は、先帝像の前の階段を上った。

「あった……!」

文字だ。

像の裏に置かれた黄金の屏風に、文字が書かれている。

私は必死でそっちに手を伸ばした。

「助けて!」

飛びそうになる意識を必死でつなぎ止め、屏風の文字に気力を注ぐ。

文字がべりべりと屏風から離れたのを見ながら、襲い来る脱力感に抵抗した。

視界が霞む。喉が熱い。胸が苦しい。

息が、できない。

膝が崩れ、先帝の像に倒れ込む。

そのときだった。