夕餉を済ませ、食器を運んでいた私に、先輩宦官が廊下で声をかけてきた。

「宇俊とはお前か」

「はい、そうですが」

「主上からの伝言だ。耳を貸せ」

あまり見ない顔の宦官だけど、皇帝の傍で仕事をしている人かしらん。

千源廟(せんげんびょう)で待っていると。行ってこい」

千源廟とは、代々皇帝の御霊を祀ってある霊廟だ。

「ははっ」

先ほど、微妙な別れ方をしたので、夕餉の間もずっと彼のことが気になっていた。

皇帝は私に聞かせたい愚痴でもあるのかもしれない。

彼ほどの人になると、愚痴ひとつでも零すのに気を遣うものね。

私は食器を運び、すぐに千源廟に向かった。