「わ、わかりました」

「晋耕と一緒に来い。彼のものも一緒に、ふたつ見せよ」

「うぐっ」

晋耕のものを借りてこようとした私の目論見は、皇帝に見透かされたらしい。

そう言われたらもう言い逃れができない。

晋耕以外の宦官に宝を貸してくれなんて言ったら、その人に怪しまれる。

それでなくても皇帝の仕事を手伝っている新人宦官として、古参の宦官から睨まれているというのに。

ここまでか……。

「申し訳ございません。私には主上にお見せできる宝がありません」

皇帝を欺いた者に待つのは死刑。

なれど、やすやすと死んでなるものか。

「では、そなたは……」

ごくりと唾を飲みこみ、覚悟した私は皇帝の目を真っ直ぐに見返した。

「主上には以前に一度お会いしております。あれは二年ほど前のことでございました」

「なんだと?」

彼の顔に戸惑いが浮かぶ。やはり覚えていないようだ。