「す、すごい……」
末席に座って待っていると、「皇太后さま、主上のおなり」と声がかかり、入り口からふたりが入ってきた。
ふたりは私のようにオドオドすることはなく、当然のように透かし彫りがされた豪華な椅子に腰を下ろす。
「楽にして。この前はお見事だったわね。どうぞ、たくさんお食べになって」
にこやかに笑う皇太后が最初に声をかけた。
「食べてから、じっくり話を聞かせてもらおうじゃないか。あの術はどこで習得したのか」
皇帝が言った術とは、私がやった呪符から文字を剥がし、書いた者を探させるという術のことに違いない。
「まあまあ紫釉、そんなぎらぎらした目をしていたら、宇俊が緊張してしまうわ。ほら、食べましょう。楽しいおしゃべりはしてもよくってよ」
皇太后が蒸餅をちぎって食べ始めたので、主上も酒の入った杯に口をつけた。私も恐る恐る料理に箸を伸ばす。
どうやってあの術を発動させたのか、追及したくてたまらないという顔をしている皇帝をよそに、皇太后は当たり障りのない世間話や、自分が若い頃の話をして場を和ませた。
末席に座って待っていると、「皇太后さま、主上のおなり」と声がかかり、入り口からふたりが入ってきた。
ふたりは私のようにオドオドすることはなく、当然のように透かし彫りがされた豪華な椅子に腰を下ろす。
「楽にして。この前はお見事だったわね。どうぞ、たくさんお食べになって」
にこやかに笑う皇太后が最初に声をかけた。
「食べてから、じっくり話を聞かせてもらおうじゃないか。あの術はどこで習得したのか」
皇帝が言った術とは、私がやった呪符から文字を剥がし、書いた者を探させるという術のことに違いない。
「まあまあ紫釉、そんなぎらぎらした目をしていたら、宇俊が緊張してしまうわ。ほら、食べましょう。楽しいおしゃべりはしてもよくってよ」
皇太后が蒸餅をちぎって食べ始めたので、主上も酒の入った杯に口をつけた。私も恐る恐る料理に箸を伸ばす。
どうやってあの術を発動させたのか、追及したくてたまらないという顔をしている皇帝をよそに、皇太后は当たり障りのない世間話や、自分が若い頃の話をして場を和ませた。