「主上が本当に男色の人なら、危ないですよ」

「やめてください!」

もう、お傍に侍るとか、おいしくいただかれるとか、言い方がわざとらしい。

今夜は単に、皇帝が皇太后の宮で行われる宴席に、私を招待してくれたという話だ。

この前の騒動をおさめたご褒美に、特別美味しい食事をご馳走してくれるとか。

皇太后が一緒なんだから、おかしなことがあるわけないじゃないの。

晋耕の言葉に耳を傾けないようにし、気を取り直して仕事と向かい合った。



夕方、私は皇太后の宮を訪れた。

広い外院を通り、朱塗りの門をくぐる。

待っていた皇太后付きの女官に案内された客間に入った私は驚く。

見たこともない大きな机に、所狭しと様々なごちそうが並んでいた。

栗が入ったお粥、豆腐と野菜の汁物、魚のひれのようなものの煮つけ、鶏肉を揚げて、とろみのあるたれをかけたもの、色とりどりの点心、揚げ菓子や杏仁豆腐などなど……。