あの朝礼から二日後。

私の仕事は相変わらず、皇帝の代筆と宦官の仕事を兼ねている。

「主上って、もしかして男色の人なんですかねえ」

とんでもない不敬な言葉を吐いたのは、晋耕だ。

「まさかあ」

「でもあれだけの佳人たちに指一本触れないなんて、おかしいじゃないですか」

「うーん……」

私たちは、各部署に送る文書の仕分けをしながらおしゃべりをしていた。

昔から、男色の皇帝もいることはいたらしい。

宦官になって知ったことだが、何代か前の男色の皇帝に気に入られて恋のお相手を務めた主席宦官がいたとかいいないとか。

そんな男色皇帝も、ちゃんと子孫は残している。皇帝の尊い血筋を絶やすわけにはいかないからだ。

「そういえば、今夜はあれですね。主上のお傍に侍る日ですね。おいしくいただかれないように気をつけてくださいよ~」

糸目を一層細くしてニヤニヤ笑う晋耕。

私は書状を落としそうになってしまった。