「胡修儀は災難だったな。怪我をした女官は無事か?」

「はい。まだ休ませておりますが、本人はいたって元気で、仕事を再開しようとしております」

「それはよかった。なにかあればすぐ報告するように」

「御意」

胡修儀がお辞儀をすると、薬のにおいがぷんと舞い上がった。

この人、どうして後宮に入ったのかしら。お腹をこれ以上壊さず、無事でいてほしい。

「皆の者。余はまだ皇帝になったばかりで、そなたらに構う余裕がない。それは申し訳ないと思っている」

改めて皇帝が話し始めると、ざわざわしていた空気が静まった。

「だが、この後宮は余の者。後宮を乱す者は余に盾突く者とみなす。よいな」

うなずく代わりに、妃嬪たちがひざまずき、頭を深く下げる。

咲き誇る花のような女性たちが、彼にひれ伏す。

髪に刺さった金歩揺がしゃらしゃらと音を鳴らした。