彼女が病弱だということは、後宮の誰もが知っているらしい。

「いいえ、胡修儀さまは潔白です。胡修儀さまは胃腸が弱く、消化のいい食べ物しか召し上がられません。生き血なんて飲んだら大変です」

胡修儀がそんなことしたら、たちまち気持ち悪くなってしまう。刺激が強すぎるのだ。

彼女の胃腸が弱いというのは、この前助けた女官の仲間が教えてくれたこと。

帰りにたくさんのお菓子を持たされた際に「ご主人様はお腹が丈夫じゃないから召し上がることができないの。遠慮しないで」と言っていた。

もらったものを見てみると、油で揚げてたくさんの砂糖をまぶした菓子や、柑橘類だった。

そして、胡修儀の宮に漂っていたにおいは、薬のにおいだと判明。

厨房で家畜の血を得たのではないかと考えて調べている間に、薬膳料理に使う薬の壺をひっくり返してしまったとき、同じにおいに出会ったのだ。

厨房の宦官に尋ねると、その薬は胃腸の不調によく効くとのことだった。

「じゃあ、誰が犯人なのよ」

苛立ったように徐貴妃が靴を踏み鳴らした。