皇帝は呆れ顔で跪いた私を見下ろす。

晋耕は床に額をつけて私の隣で黙っている。

普通は皇帝が乾清宮から出て宦官の居室に来るなんてことないもの。よっぽど怒っていらっしゃるのかしら。

「申し訳ございません」

「それはもうよい。面を上げよ」

皇帝はずかずか部屋の中に入ってきて、壁際の牀にどっかり座った。

そこ、私の寝床なんだけど……まあいいか。言えるわけないし。

「そうだ、私は茶を用意してきますね」

晋耕は立ち上がり、冷静な顔ですーっと滑るように部屋を出ていった。逃げたな。

ふたりきりになると、皇帝は私に近くに来るように命じた。私は彼の目の前に跪く。

「で、妃嬪どうしの揉め事はどうなった?」

皇帝は不機嫌そうな顔をしている。

放っておけとは言ったものの、こんなところに来るくらい、どうなったか気になっていたのだろう。

私がいつまでも現れないものだから、余計に苛立ったのか。