「ええ。ええと、うわー」
「なんです?」
「怖っ。これ、不妊の呪いですよ」
「あらまあ」
安産祈願と真逆の呪いの文字が並んでいる。
宦官が持っていても影響のない呪符だと知ったからか、晋耕がホッとしたような顔をする。
「しかるべき部署に回しましょう。これ以上は私たちの仕事じゃありません」
「ええ……」
後宮の事件を検分し、裁くのは他の宦官の役目だ。
でも、気になるなあ。徐貴妃を狙った嫌がらせであることはたしかだけど、本当に胡修儀の差し金なのだろうか?
呪符を箱に戻し、蓋を閉めようとしたとき。
「宇俊はいるか」
部屋の戸が乱暴に開き、私と晋耕は身をすくませた。
なんと、入り口に現れたのは皇帝だった。非常に苛立った顔をしている。
「そなた、やりかけの仕事を忘れておったな」
「あっ!」
そうだった。文を書きかけで部屋を飛び出したんだった。
「すみません、すぐ行きます!」
「もういい。余が仕上げておいたわ」