妃嬪の殿舎は、乾清宮を挟むようにし、東と西に分かれている。

「もし、お妃さまが揉めているのはどちらの方ですか。主上が様子を見てくるようにおっしゃったので」

回廊をウロウロしている宦官に聞いてみた。

彼はさっき部屋の外から声をかけてきた宦官らしく、ほっとしたように口元を緩ませた。

「東の方だ。徐貴妃が胡修儀(こしゅうぎ)付きの女官を責めたてている」

「胡修儀の? どうしたんだろう」

修儀とは、九嬪の四番目の位。

たしか、朝礼のときに顔色が悪いと思った人だ。

私は先輩宦官に案内され、ふたりの妃嬪のもとへ向かった。