あの日から順不同で妃たちに文を送ることにした。
ただし、ひと月単位でみんながもらう文の数が平等になるように、表を作って取り組んでいる。
そうして六日経ったとき、皇帝の宮に呼ばれた。
「なんとこまやかなものだな」
皇帝は私が作った表を見てうなった。
日付の下に、その日に書く妃の名が割り振ってある。
「位の高い者から順番でよいと思ったが」
「女心は複雑なんですよ」
徐貴妃が黙っていてくれたら、もっと楽だったかもしれないんですけどねえ。
という愚痴はぐっと堪えた。
いち宦官である私が、余計なことを言って妃の印象を操作してしまうのはよくない。
「まるで女心がわかっているかのような言い草だな」
ぎくりとし、顔が愛想笑いの形に引き攣る。
「は、はは……」
女であるということを見透かされているように感じる。そんなわけないんだけど。
文を書くとき、私はいつも乾清宮の一室を借りている。
当然本来の仕事が少ししかできなくなったけど、太監には皇帝からうまいこと言ってくれているようだ。