しばしの無言の攻防戦。先に音を上げたのはもちろん龍胆である。
「・・・安心したまえ。坊や」
ぱっと腕を奪い返すと、ぶらぶらと振って顔をしかめた。
「結婚は承諾しかねるが、雪の身の回りの世話は君に任せるよ。――・・・せっかく作った朝食が冷めてしまう。ご相伴に預かりたければ、手伝うことだ」
鬼はそう言うと、すたこらと階段を降り、一階へ逃げていった。
「く、くちほどにもないですっ!」
菫は唇をとがらせる。すぐさま体を反転させると、雪に泣きついた。
「ろくでもない鬼さんですっ。お姉ちゃんは、ぼくのなのにぃ・・・!」
「なんだかわからないけれど。心強いわ、菫ちゃん」
雪は弱弱しく笑った。やはり体調は悪いようだ。村人の仕打ちのせいだ、と菫は唇を噛む。
「お姉ちゃんのごはんに、どくをもられないよう、ぼくがみはってきますっ!」
菫は目元をこしこしと拭う。ヤケになりながら鬼の配膳を手伝いに階段を降りていった。
「・・・安心したまえ。坊や」
ぱっと腕を奪い返すと、ぶらぶらと振って顔をしかめた。
「結婚は承諾しかねるが、雪の身の回りの世話は君に任せるよ。――・・・せっかく作った朝食が冷めてしまう。ご相伴に預かりたければ、手伝うことだ」
鬼はそう言うと、すたこらと階段を降り、一階へ逃げていった。
「く、くちほどにもないですっ!」
菫は唇をとがらせる。すぐさま体を反転させると、雪に泣きついた。
「ろくでもない鬼さんですっ。お姉ちゃんは、ぼくのなのにぃ・・・!」
「なんだかわからないけれど。心強いわ、菫ちゃん」
雪は弱弱しく笑った。やはり体調は悪いようだ。村人の仕打ちのせいだ、と菫は唇を噛む。
「お姉ちゃんのごはんに、どくをもられないよう、ぼくがみはってきますっ!」
菫は目元をこしこしと拭う。ヤケになりながら鬼の配膳を手伝いに階段を降りていった。


