「梁……。そういえば……」
死んだ菊妃は、寝台の上で事切れていたという。
(刀を引っかけた梁はあれかしら?)
先日書庫で見た、菊花殿で起きた菊妃自害事件。それは、天井に紐で引っかけた刀が寝台に落ちてきて、胸をひとつきしたというものだった。確かに、ちょうどいい場所に梁が一本走っている。
(亡くなった栄祐様はその事件に疑問を持ったって仰っていたかしら?)
その古びた梁を見つめていたら、玲燕の中にもむくむくと疑問が湧いた。
「そもそも、なんで梁に刀を引っかけるなんて面倒くさいことをしたのかしら?」
皇帝の寵愛がないことに悲観した妃。死にたかったら、自分で胸をひと突きすればいいだけなのに。
「玲燕様。お休みなら明かりを消しましょうか?」
寝台で仰向けになっている玲燕に気付き、鈴々が声をかけてきた。
「……ねえ、鈴々」
「はい」
「死にたいけど自分では胸をひと突きせずに、天井から刀を落とすってどういう心理状態かしら?」
「死にたいけど?」
突拍子もない質問に鈴々の目が大きく見開く。
死んだ菊妃は、寝台の上で事切れていたという。
(刀を引っかけた梁はあれかしら?)
先日書庫で見た、菊花殿で起きた菊妃自害事件。それは、天井に紐で引っかけた刀が寝台に落ちてきて、胸をひとつきしたというものだった。確かに、ちょうどいい場所に梁が一本走っている。
(亡くなった栄祐様はその事件に疑問を持ったって仰っていたかしら?)
その古びた梁を見つめていたら、玲燕の中にもむくむくと疑問が湧いた。
「そもそも、なんで梁に刀を引っかけるなんて面倒くさいことをしたのかしら?」
皇帝の寵愛がないことに悲観した妃。死にたかったら、自分で胸をひと突きすればいいだけなのに。
「玲燕様。お休みなら明かりを消しましょうか?」
寝台で仰向けになっている玲燕に気付き、鈴々が声をかけてきた。
「……ねえ、鈴々」
「はい」
「死にたいけど自分では胸をひと突きせずに、天井から刀を落とすってどういう心理状態かしら?」
「死にたいけど?」
突拍子もない質問に鈴々の目が大きく見開く。