綺世が神々しく、そしてあたたかく微笑むのを見て、わずかに息を呑む。

「涼音のことも、俺が絶対に助けるよ」

何気ないその声は、私の眠っていた心を揺り起こすかのように響いた気がした。

私はきっと、この人との出会いに人生を変えられるだろう。
そんな確信的な予感に、戸惑いは隠せないけれど。

階段の踊り場に、夢喰い少年が佇む。
校舎の窓から差した西日で辺りがオレンジ色に染まり、その場に舞った塵まできらきらと光る。
目の前に広がる、ただそれだけの光景。
しかしそれは私が今まで目にしたなかで、一番幻想的な景色だと思った。