「松生、日義。約束通りもらっていくから」

「じゃーこっちの約束も」

すかさずシャッターを切る頼。

卒業式に、と、頼が一方的にかけた約束があった。

「りゅーやくん、咲桜が固まり過ぎてて家族写真感がない」

「今日はゆるせ。今度撮ってもらうから」

「絶対ですよー。笑満、行っちゃうよ?」

「あ、咲桜! また連絡するから!」

「神宮―、落ち着いたら親父んとこ来いよー」

流夜くんは「わかった」と肯く。そのまま本当に、硬直した私を姫抱きにして連れて行ってしまった。

先輩の呼び方で、卒業生だけはそれが『神宮先生』であったと知ったらしい。

――ちょっと待て。神宮先生には確か婚約者がいて、咲桜には彼氏がいて相手は社会人で……え。