「……そっか、分かった。今まで、ありがとう」



駿さんのあっさりとした言葉。

この言葉を最後に、ベンチから離れた私。


二度と、このクリスマスツリーを駿さんとみることはない。

二度と、駿さんの助手席に乗ることもない。

二度と、この声を聞くことはない……。


私は家に帰る途中、携帯を開いた。

駿さんからのメッセージはない。

それが無性に切なくて、涙がこぼれた。


終わりだ。


涙で視界がぼやける中、私は駿さんの連絡先を消した。

ぼたぼたと落ちる涙。

声にならない泣き声が響き、すれ違う人たちが振り返る。

格好悪い姿。

だけど、そんなのはもう、どうでもいいんだ。


私は涙ではっきりしない視界の中、私のことを愛してくれる人に送信したメッセージ。



『8時半には、家に着くからね』