「純粋で素直な子だから、その分、朱里は傷つきやすいんだよね。だけど“助けて”って、言うことが出来ないんだよね」

「……」

「助けて、ってどう伝えたらいいのか、きっと分からないんだよね」

「……っ、」



私が夜遅く帰ってきても、怒らないお母さん。

そんな私のご飯を、毎食分用意してくれるお母さん。

……お母さんの行動は私を腫物みたいに扱っているからだと思っていた。


だけど、違うのかもしれない。

お母さんは私のことを心から心配してくれている。

だけど、私はそれを振り払うから、お母さんもどうやって私を助けていいのか分からなかったんだ……。



「何もできないお母さんでごめんね……」



そう呟いて涙を流したお母さん。

お母さんが泣くところなんて想像ができなかったから、私は動揺してしまった。

だけど、この瞬間、初めて気が付いた。

本当は誰に愛されていて、私が本当に愛すべきものはなにか、と……。