「朱里。……悩みがあるなら話して?」



ある日の朝。

いつものようにお母さんと2人で朝食を食べていた。



「なにかあるなら、お母さん聞くよ?」



心配そうに私の顔を見つめてくるお母さん。

だけど、お母さんには口が裂けても言えない。

私が出会い系アプリでたくさんの男と会ってきて、その中で駿さんと出会ったこと。

私が浮気相手として、駿さんと体を重ねてしまったこと。

好きになっちゃいけない人を好きになったこと。


……言えるわけがない。



「なんでもないよ」



そう言って、私はお母さんから目をそらす。

それ以上は何も言ってこなかったお母さんだけど、私の頭に手を優しく置いた。



「朱里がそういうなら今は無理には聞かないよ。でも、お母さんは朱里の味方だからね」

「……ありがと」



触れてしまったお母さんの優しさに泣きそうになった。