それから、私はどうやって家に帰ったのか覚えていない。

お母さんが私の名前を呼んでいる気がしたけど、聞こえないふりをして自分の部屋に入った。

私が正しい行動をしていないってことを、お母さんはきっと気が付いている。

だけど、相談なんてできない。

私の今までの行動を話してしまったら、お母さんから愛を受けることもなくなるだろう。

単身赴任で県外にいるお父さんにもバレてしまう。

そうなれば、この家を追い出されてしまっても仕方のない話だ。


だから、私はこの感情も、どうしようもない現実も私だけの秘密にするんだ。


自室のベッドの布団の中で泣きじゃくった私。

私が年下だから、駿さんの恋愛対象にならないの?

出逢い方がもっと違ければ、私は浮気相手じゃなくてひとりの女性として見てもらえたの?

もし、駿さんと同じ年で、同じ学校で、同じクラスだったとしたら……。

私は駿さんの恋人になることもできていたのかな。


好き。

好きだけど、大好きだけど。

きっと、この恋は諦めなくちゃいけない。

そう思うのに、駿さんとの関係は諦めきれなくて、駿さんと連絡を取り続けてしまう私がいた。