利害一致。

いや、利害なんて一致していなかった。

そもそも私に利益なんてない。

だって私は、こんな紙切れは欲しくもなかったからだ。


ただ、私は愛して欲しかった。


嘘でもいいから、私のことを『好き』だと言って抱いてほしい。

私は異性からの愛情が欲しい。

だけど、男は“都合のいい女の子”としか私を見ていないのは分かりきっていた。

分かるから、私も相手の名前を覚える気もない。

期待することもない。

だから、回数を重ねるたびに心が虚しくなっていくのを痛感する。

それでも私が男と体を重ねる理由。

それは、いつか私を本気で愛してくれる人と出逢いたい。

その一心だった……。


私は、ぼーっと眺めていた福沢諭吉が描かれた紙切れを財布の中にしまった。

財布を鞄の中にしまい、次は携帯を取り出す。