どうやって家に帰ったかなんて覚えていない。

お母さんと顔を合わせたくなくて、家に着くなり自分の部屋に駆け込んで泣いた。


……なんで、駿さんに婚約者がいるの。

なんで、婚約者がいるのに出会い系アプリなんてやっているの。

なんで、私にアプリをやめるように言ったの。

なんで、婚約者がいるのに私にキスしたの……。


考えても分からなかった。

ひとつだけ分かることは、私が駿さんを忘れることが出来ないってこと。

初めて恋を知ったかのような感覚。

だけど、どうしても駿さんが欲しかった。

……諦めたくなかった。


駿さんはまだ結婚してないもんね……。

婚約者から駿さんを奪いたい。

どうして、こんなにも駿さんにこだわるのか分からない。

きっと、初めて“愛”というものを受けたかのように錯覚してしまったからかもしれない。

それでも、私は駿さんを振り向かせると心に誓った。