「朱里ちゃんに傷ついてほしくないよ」



カフェで涙を流す私の頭を、駿さんは優しく撫でる。

この手で抱きしめて欲しい。

もっと触れて欲しい。

駿さんが欲しいよ……。


だから。



「うん。もう、アプリやめる」



そう言って、私は駿さんの目の前でアプリを消した。

そんな私を見て『頑張ったね』というように、わしゃわしゃと頭を撫でてくれる駿さん。


ああ、私はこの人のことが好きだ……。


自然な笑みがこぼれる。

穏やかな時間が流れた。

幸せな時間だった。



「そろそろ、帰ろうか。暗くなってきたし」

「うん、そうだね」



寂しいけど、また会える。

そう思ったら、帰ってもいいかな、なんて思った。