駐車場を目指して、駅構内を歩いた。

すれ違う人たちは小走りに歩いている。

電車に遅れないようにするためなのか。

分からないけれど、慌ただしく動く人々の中で時間を気にせず歩く駿さんと私は、なんだか特別な存在のように感じた。



「俺、歩くスピード早い? 大丈夫?」

「え? あ、大丈夫だよ!」



本当に調子狂う。

私の歩調に合わせようとしてくれる駿さん。

他の男と比べちゃいけないのは分かっていた。

だけど、どうしても比べてしまう。


車に乗っても途切れない日常会話。

下衆な下心も感じられない。

だけど、どこか私を求めてくれているかのような言葉。

触れたところが優しくて温かくなる。

カフェに着く頃には、駿さんへと心が傾いていた。