最近、わたしは気にしていることがある。
 それは……。
「朝陽~!これ、お土産よ」
「ああ。ありがとう、陽彩」
 朝陽ととても親しい方が後宮に遊びに来た。
 その方は陽彩さんと言った。
 その日、仕事をしていると陽彩さんが来た。
「あなた……確か恋乃香ちゃん、だったわよね」
 陽彩さんはとても顔立ちが整っていて、誰が見ても美人と言えるだろう。
 ……って、わたし男装してるのにちゃん付け⁉
「おれに何か用でしょうか……?」
 わたしは動揺を隠すように気丈に振る舞っていたが、どこまで嘘が通るか……。
 わたしが挨拶をすると、陽彩さんはにっこりと笑った。
「あたしは若松(わかまつ)陽彩。恋乃香ちゃんは朝陽が気に入っている子だって聞いたから飛んで来たわよ~。あと、あなたが男装していることは朝陽から聞いているから安心してちょうだい?」
 陽彩さんは朝陽とどういう関係なんだろう。
 朝陽のことを呼び捨てにしている人は中々いない。
 だから、きっと親しい人なのだろう。
「そうそう、恋乃香ちゃんに言っておきたいことがあって~。……朝陽ってね、ああ見えて結構女遊びが激しい人なのよ。だから、やめておいた方がいいわよ?」
 ……え?どういうこと?
「え、あの……それはどういう意味でしょうか」
「そのままの意味よ。それじゃあね」
 それだけを残して陽彩さんは去って行った。
 なんでだろう。なんで……こんなにも苦しいの?
 朝陽に他の好きな人がいるって考えるだけで、辛い。
 これってなんなのかしら。