「ただいま」
「おかえり遅かったわね」
絶対に彼女ができたことはバレたくない。洗面台の鏡で手を洗うのと同時に自分の顔を入念にチェックする。
"よし、ニヤけてないから大丈夫だな"
「あんた、ちゃんと家まで送ってきてあげたの?彼女」
「いや、今日は大丈夫って言われたから・・・ん?」
「やっぱり彼女いたのね!」
あーもう。なんでこんな簡単に引っ掛かるんだよ。俺のバカ!
「今度紹介してね!」
「母さんには嘘つけないわ。気が向いたら連れてくるよ」
階段を駆け上がり自分の部屋に入る。LINEの通知が一件と画面に表示される。
『ただいま!今度は家まで送って欲しいです』
可愛すぎるてニヤけてしまう。
『分かった。俺さ、母さんに彼女できたことバレちゃって今度紹介してって言われたよ』
『あ、私も!顔に書いてあるよって言われちゃった』
あまりにも同じすぎてつい笑ってしまう。
「空人、ご飯よー」
下から母さんに呼ばれたので、制服を着替えて下へ向かう。タイミングよく父さんも帰ってきたみたい。
「おかえりなさい。あのね、空人にね・・・」
今日の夕食は騒がしくなる予感がした。そんな幸せな時間は長くは続かないということをこの時はまだ微塵も思っていなかった。
今日は朝から視線を感じると思いつつ普段通り登校するが、教室に入った途端歓声が湧き上がる。
「おい、空人。お前早川さんと付き合ってるらしいじゃん」
クラスの男子が悪ふざけのように囃し立てる。もうクラスは大盛り上がり。
次々と質問を投げかけてくる男子たち。女子は女子で怜奈を取り囲んでいるように見える。
適当に質問を流しているうちに予鈴が鳴りひとまず落ち着く。
「なあ、優。なんでこんな大事になってんだよ」
「あー、お前の彼女が友達に話したみたいでそこから漏れたみたい」
薄々そうなのではと感じ取ってはいた。
優が言うには、ここまで騒がれている理由は2つ。
1、学年でもトップレベルで可愛い子が付き合い始めたから
2、まだ入学したばかりで他にカップルがいないから
まさに注目の的ってやつ。
高校生が騒ぐには十分な理由だろう。"つまり俺たちはいじられる対象か"
午前の授業が終わり昼休みになっても席の周りには人集りが...いまだに怜奈とは『おはよう』の挨拶さえ交わせていない。
"一体いつまで続くんだよ"と苛々が募っていくが誰1人として周りはこの思いに気付かず質問し続け昼休みが終わりを告げる。
午後の授業は集中できるはずがなく、ぼんやりしているだけで終わってしまった。何もしていないはずなのにとてつもない疲労感に襲われる。
結局、掃除の時間もまともに話せずじまいに終わり部活に向かう。
「おかえり遅かったわね」
絶対に彼女ができたことはバレたくない。洗面台の鏡で手を洗うのと同時に自分の顔を入念にチェックする。
"よし、ニヤけてないから大丈夫だな"
「あんた、ちゃんと家まで送ってきてあげたの?彼女」
「いや、今日は大丈夫って言われたから・・・ん?」
「やっぱり彼女いたのね!」
あーもう。なんでこんな簡単に引っ掛かるんだよ。俺のバカ!
「今度紹介してね!」
「母さんには嘘つけないわ。気が向いたら連れてくるよ」
階段を駆け上がり自分の部屋に入る。LINEの通知が一件と画面に表示される。
『ただいま!今度は家まで送って欲しいです』
可愛すぎるてニヤけてしまう。
『分かった。俺さ、母さんに彼女できたことバレちゃって今度紹介してって言われたよ』
『あ、私も!顔に書いてあるよって言われちゃった』
あまりにも同じすぎてつい笑ってしまう。
「空人、ご飯よー」
下から母さんに呼ばれたので、制服を着替えて下へ向かう。タイミングよく父さんも帰ってきたみたい。
「おかえりなさい。あのね、空人にね・・・」
今日の夕食は騒がしくなる予感がした。そんな幸せな時間は長くは続かないということをこの時はまだ微塵も思っていなかった。
今日は朝から視線を感じると思いつつ普段通り登校するが、教室に入った途端歓声が湧き上がる。
「おい、空人。お前早川さんと付き合ってるらしいじゃん」
クラスの男子が悪ふざけのように囃し立てる。もうクラスは大盛り上がり。
次々と質問を投げかけてくる男子たち。女子は女子で怜奈を取り囲んでいるように見える。
適当に質問を流しているうちに予鈴が鳴りひとまず落ち着く。
「なあ、優。なんでこんな大事になってんだよ」
「あー、お前の彼女が友達に話したみたいでそこから漏れたみたい」
薄々そうなのではと感じ取ってはいた。
優が言うには、ここまで騒がれている理由は2つ。
1、学年でもトップレベルで可愛い子が付き合い始めたから
2、まだ入学したばかりで他にカップルがいないから
まさに注目の的ってやつ。
高校生が騒ぐには十分な理由だろう。"つまり俺たちはいじられる対象か"
午前の授業が終わり昼休みになっても席の周りには人集りが...いまだに怜奈とは『おはよう』の挨拶さえ交わせていない。
"一体いつまで続くんだよ"と苛々が募っていくが誰1人として周りはこの思いに気付かず質問し続け昼休みが終わりを告げる。
午後の授業は集中できるはずがなく、ぼんやりしているだけで終わってしまった。何もしていないはずなのにとてつもない疲労感に襲われる。
結局、掃除の時間もまともに話せずじまいに終わり部活に向かう。