「………」

「遙音先輩はともかく、笑満のことで出歯亀ったら赦さない」

「ごめんなさい」

いそいそカメラの準備を始めた頼の顔の前に、横凪ぎに拳を突き出した。頼は仕方なしにそれを仕舞う。

「おお、やっぱ咲桜だね」

「咲桜も先輩もカッコいいー!」

「さすが日義の飼い主」

「つーか怖―」

「夏島先輩と笑満ちゃん、何あったんだろー!」

「お姫抱っこで連れ去っちゃった……」

珍獣扱いの頼と、謎の評価の私だった。

『日義の飼い主』という呼ばれていることは承知しているけど、今更気にしない。

「………」

何があったかはわからなかったけど、たぶん、先輩なら上手くやってくれるだろう。

……笑満の一番は、もう遙音先輩だから。