何の進歩もないまま、私たちは2年生になった。

「なあ、七瀬」

ある日私に声をかけてきたのは、佐々木だった。

彼とは保育園のころからの付き合いで、小学校に入ってからは川村の親友だ。

「どうかした?」

「あのさ、川村の好きな人教えてやろうか?」

当時の私は、その言葉にすぐに食いついた。

だが、少し落ち着いて、

「なんで?」

と聞くと、

「だってお前、川村のこと好きだろ?」

と帰ってきた。

さも当然だろと言わんばかりのその言い方にうろたえていた私に

「まあ置いといて。で、知りてえの?」

と続けるから、

「知りたいけど…」

と答えるしかなかった。

「ん」

今でも忘れない。

佐々木は、そう言って私を指さした。