「川村、歩美と付き合ってるんだって」

その言葉を聞いた時、あの日の悪夢がよみがえってきた。

ダメじゃん。

同じ高校行ったって、叶わないじゃんか。

なんでいつもそうなの?

なんで幸せな時にこうなるの?

私は、幸せになるべきじゃないってこと?

どれだけ悲しめばいいのかわからない。

その時の私は絶望に満ちていた。

苦しくて苦しくて、息の仕方さえ忘れてしまうかと思ったほどだった。

あの時よりも泣いたと思う。

だって、踏み出そうとしていたのに。

「なんで?」

この言葉以上に、何も出てこなかった。