~心の内と、狭間の外~
 薄暗い校舎裏。そんな人気なんてあるわけもない場所に私は立たされていた。
「これ以上されたくなかったらさっさと金を置いてけよ」
「嫌だね。お前みたいな野郎に上げるお金なんてないし」
 そう私が反抗すると間髪入れずに平手打ちされる。
 ……やっぱり、何も感じない。
 恐怖とか憎悪の感情さえ生まれれば私は何があろうともこいつから逃げ出そうと徹底抗戦に踏み切ろうとするだろう。
 しかし全くもってそんな感情は生まれない。
 だから私は反抗という反抗もしない。だからと言って横暴に受け答えする気も毛頭ない。
「お前、まさかドMなのか?だからこうやって痛みを与えても――」
「失礼だなぁ……。私は全くをもってドMでもなんでもないよ」
「ならなんでここまで傷をつけたのに……」
 傷?この程度で傷と言うのか。
「ならもっと痛みを味わわせて絶叫の下に静粛を加えるようにしないと。それが暴力でしょ?」
 そう私が言うと、杉林含めたグループ全員が黙りこくった。正確には唖然としていた。
「……もう、私に用ないよね。じゃ」
 私は杉林たちに関わるなんて面倒事をさっさと取っ払いたいと思っていたから、冷たくあしらってやった。
 私と仲良くしたってメリットなんてないのに。

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 ……それにしても、結界内の人間はこの一変も二変もしたこの世界を見て何を思うだろうか。