「あー、じゃ、じゃあ次の日曜はまたうちでお菓子作ろう! お菓子作りは笑満先生頼りだから、そういうのを遙音先輩にあげるのいんじゃない? 笑満が作るのすきだって知ってるんだったら、もっと嬉しくなるんじゃないかな」

『………』

笑満、黙った。……妄想してるな。

咲桜の疑いは案の定で、直後に笑満は悲鳴をあげた。嬉しそうな悲鳴だった。

『は、遙音くんがー!』

「ど、どうした⁉」

『うう……昔、お母さんと一緒に作ったお菓子食べてくれたのと同じ顔で笑ってくれたー!』

「よ、よかったね」

『うんー!』

笑満は泣いてるんだか喜んでいるんだかわからない。でも、そうか。二人にはそういう思い出もあるのか。

「………」

ふと、笑満が言った。

『咲桜も妄想してみてね?』

「は?」

何を? てか妄想って言い切ったね。

『何って、あたしが遙音くんにあげるんだったら咲桜は流夜くんにあげるんでしょ?』

「そうなの⁉」

『違うの?』

「か、考えてなかった……っ」

『……流夜くん可哀想』

「か、考える! 今から考える!」

目を閉じてイメージする。自分が作ったお菓子を流夜くんに渡したら――

『どう? さ
「流夜くん死なないでー!」

『……また爆発したんだ……』

何かをわかりきった様子の笑満だった。私は半泣きだった。