「……ん? 神宮、なんか顔紅くね? お前ら酒は飲まねーだろ?」

降渡の件も片付いて食事も終えて、遙音が帰り際にそんなことを言った。

「あ?」

俺が返すと、呆れた顔をされた。

「お前また熱出てんじゃねえの? 今日はふゆんとこ行くなよ?」

降渡まで注意してきて、遙音は肯いている。

「神宮って簡単に風邪ひくよな。んで治るのも早―の。なにその仕組み」

「仕組みっつわれても……」

返答に困る。自覚がないから。

「あれだ、遙音。りゅうは風邪症状が目に見えやすいだけなんだよ。大体ぱっと熱出てすぐ引くからなー。喉にきたりしねーから、見た目アレでも軽いんだよ」

「あー。そういやこの前は咲桜来なかった? 俺が送り込んだんだけど」

遙音が鞄を置いてにやにやし出す。鞄を置くな。帰れ。

「あ、咲桜ちゃんと言えば――」

と、降渡が勝手に引き出しを探り出す。

「あ、あったあった。さすが咲桜ちゃん。準備万端だねー」

出て来たのは市販の風邪薬や栄養補助食品だった。確かに以前咲桜が来てくれた時に、残ったの入れておくと言っていた。

……が。

「なんでお前が知ってる」

ピンポイントでそこを探り当てた降渡。この部屋に盗聴器の類はしかけられていない。

「え? だって俺、咲桜ちゃんと友達だから。りゅう情報の交換は日課―」

「……ふざけんな」

いつの間にそんな位置手に入れやがった。

咲桜に改善するように言わないと。

「すごんでもダメー。咲桜ちゃんの愛情つまった薬を飲んでさっさと治せ。まーお前なら一晩寝りゃ治んだけど、明日学校で咲桜ちゃんに逢えないのはヤだろ?」

にやにやされた。