「って! それとは話が別だし! お前だって咲桜んとこいてから春芽んとこいくんじゃねーか!」
「黙れ学生」
出歩く時間じゃねえ。
すげなく言い返すと、遙音は眉を寄せた。
「横暴! 咲桜にはだだ甘いくせにー!」
「当り前だろ。自分の女に甘くしねえでどうする」
「ぎゃー! 神宮が人格崩壊してるー! 雲居助けてー!」
「うっせえ」
手刀が一発。
どんな叫びだ。てか夜中に叫ぶな。呼んだら来ちまいそうじぇね
「ん? もしかして今呼ばれた?」
「………」
俺の部屋の合鍵を作ることなど造作もない不良探偵が当然のようにドアを開けて入って来た。
もう吹雪に電話するのも面倒くせえ……。
その術、遙音には教えるなよと釘を刺しておかねばならないだろうか。
「くもいー! 神宮がおかしい! 咲桜にやられてる! あいつはスナイパーかもしんない!」
「咲桜ちゃんがスナイパー? あはは、それいいな。りゅうはとっくに撃たれてるもんなー」
「当り前のように座るな。お前の分のメシはない」
「ってことは遙音の分はあんの?」
「………」
まだそこまで話がいっていなかった。咲桜が作ってくれた分をくれてやるという。
「りゅう、お前遙音にあんま意地悪すんなよ。こいつ、お前のこと一番に慕ってんだから」
泡喰って降渡の言葉もまとも聞けていない様子の遙音を横目に言うが、別に意地悪なんてしてない。
「面白がって意地悪いお前よりマシだ」
「真面目に意地悪いお前のが問題」
「………」
「―――」
平行線。



