「……それで、悩みは解決か?」

「うん? まーいちおーは」

「じゃあ今度はこっちからな。お前、進路はどうする気だ?」

「……ここって進路指導室だっけ?」

遙音が嫌そうな顔をした。

「教師としての方じゃねえよ。親代わりとして、だ。お前がどう思おうとな。どの道選ぶにしろ、俺ら三人、頼れよ」

「………」

遙音は少し顔をうつむけた。遙音と、結構昔からこういう話はしてきた。

「……大学、は行く気ない」

「進学しないのか?」

「もともと高校も行く気なかったし――勉強なんて独学で出来るし、なんだったらお前らに師事した方が勉強になる気もするし。――今のとこ、進学は考えてない」

「なら就職か?」

「うん――」

一筋の眼差し。その先に見ているものが、今ならわかる気がした。

「……よく考えて頑張れよ」

「ん。あとさー」

「なんだ?」

「神宮ってなんで咲桜だったの?」

「………」

日義が言ったという言葉、賛同するしかないのか。咲桜と遙音はどこかしらがどことなく似ているらしい。

「……お前といい咲桜といい……なんなんだ? 意味がわからん」

「咲桜も……? 言ったの?」

「………」

あえて肯かないでおいた。遙音の地雷ヒットしそうだったから。

「なんつーか、お前ってアホかっつーくらい女に興味なかったじゃん。相手にしなかったって言うか。宮寺との諍いもそれが遠因だし――どうして咲桜にはあんなべた惚れてんの? やっぱロリコンだったのか?」