「わりーわりー。切羽詰ってて頭動いてなかったわー」

「ふざけんな」

「だから悪かったって。あーなるほど。そういう解釈もありなのかー」

「いいからお前は常にそう解釈してろ。咲桜はそっちにやんねえから」

「ああ、そこは大丈夫。心配してない。ほんとに笑満ちゃんが、咲桜の代わりに俺をすきだって言ったのかなってこんがらがってたわ」

「………」

相変わらず傍迷惑なこんがり方をするヤツだな。解決したらいいものの。

「それで――松生はなんでそこまで咲桜に惚れてんだ?」

「惚れてない! 慕ってるだけだ! 友達的意味で!」

剣幕で怒られた。

「……わかったよ」

ため息をついた。

これ、遙音の地雷だな。

「そういやさっき言ってた――咲桜に助けられた? とかが原因なのか?」

「あー、それはなんつーか、そこに関しては咲桜に礼言うしかないんだけど……出来たら俺が引きあげたかったって言うか……」

「ひきあげ?」

遙音は軽くうつむく。

「……うちの件で、笑満ちゃん少し――人間不信、みたいになってたんだって。学校の友達とかに対しても。そのタイミングで笑満ちゃんの家も引っ越してるから――。頼から聞いたんだけど。あまりうまくやれてなかったところを、咲桜が手ぇ握って引っ張ってくれたんだって。だから、頼の所為でほかに仲いいの作れなかった咲桜や、原因の頼と友達になったんだって」

「……お前にはどうしようもねえじゃねえか」

「そうだけど! ……神宮だって、咲桜のことで、もっと早くに逢ってたらとか思うことあんじゃねえの?」

「そりゃ、あるけど……」

「それと似たようなモンだよ。どうしようもないけど――願望」

どうしようもない願望。願っても叶わない、敵わない過去。