「君が窮地に陥ったとき、どういう行動をするかも知っておきたいしね」
「………」
このくそSどもめ。
「邪魔はするつもりないけど、父親として君の査定はするつもりだよ」
「……ご随意に」
「はは。別にいじめたいわけじゃないよ。――そろそろ降りてくるかな」
「少し様子見て来ます」
「ああ。――ああそれから」
「はい?」
「私は君を息子扱いすることを決めたのは本当だよ。――大分前から」
ね。微笑で言われて面喰った。
「私は手加減なしだからね」
思わず大きく瞬いてしまった。
在義さんが余裕を失っている。……俺に嫌がらせをして鬱憤をはらしているように見える。
そんなに千歳に関わるのが嫌なのか……。
治外法権とか、一体どんな家なんだ。在義さんにここまで余裕を失わせるなんて。
……調べておくか。旧家に強い知り合いもいることだし、使えるものは総て使う。
「ありがとうございます」
「可愛くないねえ」
「お蔭さまです」
――と、そこへ咲桜が勢いよく階段を駆け下りて来た。そのまま飛びついてくる。少しだけ在義さんの眉が揺れたのが俺にもわかった。
「咲桜? どうし――
「え、笑満が! 笑満が遙音先輩と付き合うって! おめでとう!」
「あ、そうなのか……」
祝う相手が間違っている。いやそんなことより。
「遙音が――そう言ったのか?」



