「何って――可愛いでしょ? 桃子母さん」
「え――あ、そうだった。桃子さん見せてもらってるんだった」
「何見てたの」
話が食い違っている。咲桜が問うから、一番小さな子を指さした。
「咲桜。今は綺麗系になったけど、小さい頃から可愛かったんだなー、と」
「………」
咲桜、胡乱に目を細めた。
「流夜くんってそのくらいの年頃の子供すきなの? え、ぺ
「じゃねえよ。お前だから可愛いって言ってんだよ。――咲桜は桃子さんに似てるけど、意思が強そうと言うか頑固そうだな」
「だよね! 桃子母さんの儚げな感じって天女の羽衣みたいだよね!」
「………」
マザコン重症すぎる……。少し治らないかな……。
彼女と女子の趣味が合うって、どんな事態だよ。
このままでは自分の位置はずっと在義さんと桃子さんの下かもしれない不安が過った。咲桜に対して言った言葉を桃子さんへの褒め言葉に取るって……。咲桜の思考回路はやはりシンプルに複雑だ。
「あー、咲桜」
「うん?」
ものすごく嬉しそうな顔をされた。くそっ、咲桜がこんな甘えた顔するんならもっと早くから桃子さんの話を振っておくんだった。
「俺の中ではお前より上位のものってないからな?」
「上位? ……私成績あんまよくないけど」
「うん、その取り方でその辺りはわかる」
まあ、こんなことしつこく言っても気味悪いだけだ。話を変える。
「てか大分話ずれたな」
「だね」
私のせいか、と咲桜は軽く笑った。……桃子さんの話のあとでも、咲桜は笑えた。



